近年増加している味覚障害
味覚障害は近年高齢化社会やストレスの増加から、発症している方が増えてきています。
さらに、新型コロナウイルスの罹患症状や後遺症としても、味覚障害になる場合があります。新型コロナウイルス感染による味覚障害の場合、突然発症する方が非常に多いですが、発症してから4週間以内に症状が改善する方がほとんどのようです。
また、味覚障害を発症すると何科を受診すればよいのか迷われる方もいらっしゃると思いますが、味覚は嗅覚と密接な関係にある感覚のため、まずは耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
味覚障害とは
味覚障害と聞いて、食べ物の味を感じなくなる病気とお考えの方も多いと思います。
しかし、味覚障害の症状はそれ以外にもいくつかの分類に分けることができます。
- 味が分からなくなる(味覚低下)
- 味が全くしなくなる(味覚消失)
- 特定の味のみ感じなくなってしまう(解離性味覚障害)
- なにも食べていないが、塩味や苦味などの味覚がある(自発性異常味覚)
例:ケーキなどの甘味のみ感じなくなってしまうこと - 本来の味と違った味がする(異味症)
例:レモンが塩辛い、バナナが苦く感じる
その他様々な症状がございますが、上記が主な症状になります。
そもそも味覚の仕組みとしては「塩味」、「酸味」、「甘味」、「苦味」、「うま味」の5つの受容体が存在しており、舌の表面にあるブツブツした点の「味蕾」という部分で味を感じています。
味蕾で味を感じた後、味覚神経を通って脳に味が伝達されて、味を認識します。
この味を感じてから認識する間のフローになにかしらの障害が起きることで、味覚障害は発生すると考えられています。
味覚障害の原因
味覚障害を引き起こしてしまう原因としては以下が挙げられます。
亜鉛不足
味蕾にある細胞は、亜鉛の力を借りて定期的に生まれ変わる、新陳代謝が活発な細胞です。偏った食生活や薬の影響により亜鉛が不足すると味蕾にある細胞が新陳代謝できなくなってしまうため、味覚障害が発症します。
薬の副作用
降圧薬や精神疾患薬、抗がん剤などの副作用によって、味覚低下が現れるものがあります。
心因性
過度のストレスやうつ病が原因になり、味覚が上手く機能しなくなってしまいます。
口腔内の乾燥
ドライマウスなどの疾患により唾液の分泌が適度にされなくなることで、口腔内が乾燥してしまいます。そうなってしまうと同時に味蕾の働きが悪くなり、味を正確に感知することができなくなります。
加齢
高齢になるにつれて、味蕾の数が減っていきます。これに伴い、味覚の感知ができにくくなるため、味覚障害を発症します。
嗅覚低下
風邪を引いて、鼻が詰まっている時は味が感じにくくなります。脳は食べ物のにおいと味を両方感知することで風味として認識するため、嗅覚が低下している時は味を感じにくくなってしまいます。
全身疾患
貧血や脳卒中、顔面神経麻痺、透析などでも味覚障害になることがあります。
味覚障害の治療方法
味覚障害の治療方法は原因によって異なりますので、まずは原因の追究が大切になります。
亜鉛の不足が原因として考えらえる場合は、日常生活の食事を見直していただくと同時に亜鉛の内服をします。通常3ヶ月以上内服します。
漢方薬での治療も行われます。
口腔乾燥が原因の場合は、唾液分泌を促進することも大切です。
薬の副作用が原因と思われる場合は、薬の変更や中止をします。