耳垢・耳掃除について
耳の穴の入り口から鼓膜までの耳の穴の壁を外耳道といいます。耳垢は、外耳道の入口から1.5㎝までにでき、正常の耳ではそれより奥には耳垢はできません。そして、溜まった耳垢は、自浄作用という自動的に耳を掃除する働きにより、自然と外側に排出されるようになっています。耳垢ができない外耳道の奥のほう(鼓膜に近いところ)は、この自浄作用があまり働きません。
耳掃除を週に何回も繰り返すと、外耳道皮膚を刺激し自浄作用の働きを止め、耳垢がたまりやすくなります。外耳道炎になりやすくなり、痛くなったり、かゆくなったりします。また、外耳道の皮膚を傷つけたり、鼓膜を傷つけてしまうこともあります。耳掃除をすると、耳垢を少しずつ耳の奥に押しこんでしまうことがあり、外耳道を耳垢で詰まらせて耳垢栓塞(じこうせんそく)となることがあります。
また、湿ったタイプの耳垢の方は、耳垢が溜まりやすくなります。とくに綿棒で耳垢を奥に押しやると耳垢がとれなくなり、どんどん溜まることになります。カサカサタイプの乾性耳垢の場合も、プールやシャワーの水で耳垢が膨らんでしまい、耳垢栓塞になることがあります。 耳垢栓塞になると、耳の穴を耳垢が塞いでしまい耳が閉塞した感じになったり、耳が聞こえづらくなってしまいます。
そのため、耳掃除に関しては、できるだけ、ご自宅では無理に行わず、耳鼻咽喉科で耳垢を除去していただくことをおすすめします。
耳垢が溜まりやすい人
- 子どもは外耳道が狭いため、掃除がしにくく耳垢が溜まりやすいので、耳垢栓塞になり耳の聞こえが悪くなる場合があります。また、子どもは聞こえづらくなっても自ら訴えないことが多いため、健診等で耳垢が詰まっていることが分かる場合も多いです。
- 高齢になると外耳道の自浄作用が低下し、耳垢が溜まりやすくなるといわれています。
- 稀ですが、中年以降の方に外耳道皮膚の角化が進み耳垢が溜まりやすい方もいらっしゃいます。
治療
耳垢(栓塞)の除去は、立派な診療行為のため、保険適用となります。
ご自身もしくはお子様の耳垢を取るのが難しい場合、当院では吸引器具やピンセットなどで取り除くことができます。耳の奥で硬くなってしまった場合には、薬を耳の中に入れて事前に耳垢を柔らかくしてから除去します。
近年、耳鼻咽喉科での診察を定期的に受診していないお子さんが耳垢栓塞になっていた、というケースが散見されます。耳垢栓塞は、2~3ヶ月に1回程度の耳掃除で予防することができるので、「聞こえづらくなった」「聞こえにくそうにしている」などの症状がでたり、「耳が大丈夫か心配」といった方は、お気軽に当院までご相談ください。あまり耳垢が溜まらないお子様も年に1回夏のプール前に耳のチェックをすることをお勧めしています。お気軽に受診してください。